Days of Mac and Run

2022年6月に腰椎後方固定術で腰部にチタンスクリューを埋め込んだ元サブ3.5ランナーのジョグブログ

遥かなる故郷

注:この記事は、2010年にとあるサイトに投稿した記事をリライトしたものです。

 

フランスの哲学者サルトルは、長編小説「嘔吐」のなかで一度も訪れたことのない故郷「釜石(岩手県)」を登場させていた。世界的に有名なジャン=ポール・サルトル氏が生まれ育った釜石を小説の中に登場させていたなんて、まったく知らなかった。

昨日、突然兄から宅急便が届いた。
盛岡出身の推理小説家、松田十刻(まつだ じゅっこく)氏が書いた「遥かなるカマイシ」という文庫本と地元遠野産ホップで製造されたビールが2本だけ。

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小説の舞台は、第二次世界大戦当時の岩手県釜石市。実際に釜石にあった捕虜収容所のことや大きな被害となった艦砲射撃のことなどを織り交ぜながらストーリーがすすんでいく。あくまでもフィクションなのだが、実在する地名が次から次に登場してくる。ノン・フィクション小説を読んでいるような錯覚に陥ってしまい、約500ページを一晩で読み切ってしまった。

もちろん地元のポップで製造されたビールを飲みながら。

(現在も禁酒中です👍)

サルトル氏のことは、著者である松田氏がこの小説の冒頭で書いてい。釜石を登場させた理由は「カマイシという音が美しいから…」。そう言えば、松任谷由実の作品「緑の町に舞い降りて」の歌詞にも、♪MORIOKAというその響きが、ロシア語みたいだった♪とある。異国の人からすると岩手県の地名には、そんなイメージがあるのかもしれない。

ちなみに東北本線を下りて新花巻駅から釜石までの釜石線は銀河ドリームラインと呼ばれ、すべての駅にエスペラント語の駅名がついている。遠野物語で有名な「遠野」はフォルクローロ、自分が生まれ育った町の駅名はミナージョと言う。

故郷のことを思い浮かべながら懐かしい地名とポップの味に酔いしれた夜だった。